合気道の技は、『構え』⇒『体裁き』⇒『崩し』⇒『固め or 投げ』⇒『残身』⇒『構え』で構成されます。下記ではこの順番で説明していきます。
第一回:『構え』について
普段の稽古の中では、まとめてお話しする機会がない合気道の基本技術について、今後継続的に公開していきます。まずは初回は、合気道の基本中の基本となる『構え』についてご説明します。
合気道の基本の『構え』は、<裏三角の構え>と呼ばれます。

上記写真のように、前足の小指と踵を結ぶ線の上に後ろ足の親指が構えることで、前後左右に安定してスムーズに移動することができます。 この構えに関する注意点を下記します。
①移動する場合、半身を維持して、常に<裏三角>の形が崩れないように。
②上半身は適度に脱力し、正中線(体幹)が床に対して垂直を維持。
③重心は前足の母指球の位置にのせるように。
④歩幅は肩幅程度よりも狭くなるように。(歩幅を広くすると、体重移動がスムーズにできない。)
⑤残身(相手を抑える時)を除いて、歩幅を広げ、腰を落としすぎないように。
合気道にとって、この構えが最も大切です。この構えができていないと、その後に行う<体裁き>⇒<投げor固め>にも影響が出ますので、普段の稽古でしっかり体に焼き付けましょう!
第二回:『体裁き』について
『体裁き』は下記の5種類があり、この5種類を組み合わせることにより、合気道の技を行う際の動きとなります。
①入り身:斜め前約45度に一歩移動する。後ろ足は継ぎ脚でつけていく。『入り身一足』
②転 換:前足を軸にして、相手と背中合わせになるように後ろ足を約180度回す。
③入り身転換:入り身の動きをした後、前足を軸に『転換』する。
④一重身:両足の位置を動かさずに、上半身(臍の方向)を約90度回して最低限の動きで躱す。
⑤転 身:入り身した前足を軸にして、相手と向い合せになるように後ろ足を約180度回す。
普段の稽古の中でこの『体裁き』をしっかり体に焼き付けましょう!
第三回:『崩し』について
固め技・投げ技によって、使用する『崩し』の技術は異なりますが、共通する技術を下記します。
①常に死角に移動すること:威力のある技術であっても、相手の目の前では容易に防御されます。
②螺旋状に手を使うこと:翁先生も晩年には直線的な動きから螺旋の動きが多くなりました。
③下半身主導で動くこと:上半身の動きからでなく、下半身からまずは動くことが大切です。
④相手の体を伸ばすこと:相手の態勢を伸ばすことで、相手の力が出ない状態を作り出します。
『崩し』を常に意識して稽古していきましょう!
第四回:『残心』について
『残心』とは、最後まで技を途切れさせず、心を残すことです。
投げ固め技であれば、相手が反撃できないように抑えながら、意識もしっかり押さえたままとすること。投げ技であれば、体のしなりが波の波動のようにしなりつづけるように心を残すことが大切です。
この『残心』が終われば、また『構え』に戻ることとなります。
第5回:『△ ◯ □』について
『◯△□』は禅でよく使用され、色々な深い意味がありますが、合気道では、
△:体裁きは三角に入り
○:崩しは丸く崩し
□:固め技は四角に固める
という意味で使われます。
今後の稽古の参考にされてください。
第6回:『投げ技』について
投げ技については、下記点を意識する必要があります。
①常に相手の死角(相手の背中を前に見て)で投げる。
②上半身(腕)主体ではなく、下半身(足)主体でバランスを崩させて投げる。
③相手の腕全体を投げるのではなく、腕の先端(指)から畳んで投げる。
④相手の腕を両手でガッチリ握らないで、片手で軽く握る。
まずは小手返し/四方投げで上記点を意識して投げてみてください。
第7回:『舟こぎ運動/振魂』について
稽古の準備体操前に行っている『舟こぎ運動/振魂』について、菅沼守人師範に教わった内容をご説明させていただきます。
『舟こぎ運動(天の鳥船の行)』は、此岸(現実社会)から彼岸(理想郷)に向かって船を漕ぎ出す意味で行う神道の行法になります。
次に、行うのが、『鎮魂』から『振魂』です。
『振魂』を行う時には、下記の『天の数歌』で、この世が百年も千年も万年も益々栄えますようにという祈りを込めて唱えるように、植芝盛平翁から教わったそうです。
『天の数歌』は、『ヒト(一)・フタ(二)・ミ(三)・ヨ(四)・イツ(五)・ムユ(六)・ナナ(七)・ヤ(八)・ココノ(九)・タリ(十)』を心の中で3回唱え、最後に『モモ(百)・チ(千)・ヨロズ(万)』を1回唱えます。
『天の数歌』の意味は、
ヒト(一)は、日・霊が生まれ
フタ(二)は、風が生まれ
ミ(三)は、水が生まれ
ヨ(四)は、世の中が生まれ
イツ(五)は、生き物が生まれ
ムユ(六)は、虫が生まれ
ナナ(七)は、魚類が生まれ
ヤ(八)は、鳥類が生まれ
ココノ(九)は、獣類が生まれ
タリ(十)は、そして人類が生まれたということになります。
そしてこの世の中が百年も千年も万年も益々栄えますようにという祈りを込めて唱えます。
合気道の稽古を行う前には、必ず『舟こぎ運動(天の鳥船の行)』・『鎮魂』・『振魂』を行いましょう。
第8回:『常に現在の技術を疑うこと』について
先日、約25年来、稽古をしている高段者の方から、『私が初めて習った技から今の技はかなり変わりましたね。』とのお言葉をいただきました。
私の合気道は、祥平塾在籍時に菅沼守人先生から学んだ合気道の基本から、菅沼先生の師である大澤先生の流れを汲む嶋本先生や佐柳先生から影響を受けて、30年前の自分の合気道が形づくられました。
その後、自分の道場を開き、皆さんに合気道を教えさせていただく中で、技術の『ムリ・ムダ・ムラ』を感じた部分を改善し削ぎ落していった結果が、今の合気道の技術につながっています。
この30年で私の技術は基本技ですら大きく変わってしまいましたが、今後も現在の技術に胡坐をかくことなく、自分の肉体・考え方の変化に伴って、より完成度の高い合気道の技術を求め、変化していきたいと思います。
第9回:『手/足の使い方』について
『手は小指、足は親指』と言われます。
固め技で相手の手を握る場合は、小指から握って相手の手と自分の掌がより密着するように握ります。
投げ技で最後残心を行う場合などは、足の親指が畳を噛むように踏ん張ります。
動き始めは、『手から動かすのではなく、足から動かすこと』が大切です。
例えば、片手取り転換法の場合、手から押し込んだり、引っ張ったりせずに、足から入り身転換しましょう。 手は相手から干渉を受けますが、足は相手から干渉を受けません。まず足を動かせば、相手は自分の手に加えていた力に集中することができなくなります。
普段の稽古で意識してみましょう!
第10回:『手/足の動きを連動させる』について
日常生活では手を使うことが多く、合気道の技を行うときにも手のみを使ってしまうことが多いように感じます。第9回でも記載したように『手から動かすのではなく、足から動かすこと』が大切ですが、『手と足の動きを連動させる』ことも より重要になってきます。
例えば、小手返しを行う場合、手だけの動きは杖の片手八の字返しの動きを行うこととなりますが、その動きと連動して、手を動かした方向に足が動き、腰が入っていく動きが必要があります。
この連動した動きが絶えず連続性をもって止まらないことも必要です。
この連動した動きができるようになると、連動した動きがない場合に比べ、大幅に相手が我慢できず自然に投げられるようになります。 ぜひ試してみてください。
第11回:『受け身』について
今年も祥平塾傘下の演武大会も無事に終了しました。その演武会での私の視点は受け身です。演武会は普段の受け身の稽古の成果が発揮される場所でもあります。演武の良し悪しは受け身で決まることが多く、『受け7割、投げ3割』ともいわれます。
受け身で注意すべき点を下記したいと思います。
①投げの力のスピード・強さ・方向を感じて、投げと同調して滑らかに動くこと。
②投げに重さをかけないこと。(受けは腰を引かないこと)
③受け身の動作に無駄な動きをできるだけ削ること。 etc
受け身の注意点は書ききれないほどありますが、とにかく受け身の稽古方法は、受け身のうまい上級者にできるだけたくさん投げてもらって矯正していくことしかありません。
私が学生の時、合気道の指導者の方から『まず受け身から合気道を覚えなさい。受け身で覚えた合気道は投げで覚えた合気道よりはるかに伸びしろがあるから。』と教えていただきました。今となって受け身の大切さを日々感じています。上級者になればなるほど受け身の稽古をしてもらいたいものです。
第12回:『多人数掛け』について
開祖の道歌に『敵多勢 我をかこみて攻むるとも 一人の敵と思ひたたかへ』がありますが、多人数掛けを行う場合は<囲まれないこと>が大切です。
囲まれないためにやってはいけないことは、
①その場から動かないこと
②下がってしまうこと
逆に、囲まれないためにやらなければいけないことは、
①多人数の外側に体裁きをすること
②体裁きで常に前に出ること
③相手を投げることに執着せず、体裁きを主に動くこと(足が居着かないこと)
以上のことを念頭において、多人数掛けの稽古をしていただければと思います。
第13回:『武器技』について
合気道では、徒手だけの稽古でなく、武器技(太刀・杖(じょう))の稽古を行うことをお勧めします。
太刀では、
①太刀の振り方・突き方
②太刀の受け方(面打ち・突き)
③四方切り・八方切り
④気結びの太刀
⑤組太刀5種
⑥太刀取り
杖(じょう)では、
①杖の突き方・振り方
②杖の受け方(面打ち・突き)
③杖の型(13/21/31の杖)
④組杖(13/31の杖)
⑤杖取り
の稽古を通して、合気道の基本体裁き(入身/転換/入身転換)を使用して、太刀・杖(じょう)の動きと自分の体を同期させていきます。
上記の武器技を学ぶ中で、徒手の動きにも反映でき、動きのクオリティが向上すると思います。
是非、徒手だけの稽古でなく、武器技の稽古を行うことをお勧めします。